2013年1月7日星期一

【After 3.11】(41)鷲尾和彦 福島県福島市 阿武隈川 

【After 3.11】(41)鷲尾和彦 福島県福島市 阿武隈川 
■未来へパンをまく少年 初雪が降る頃には、もう冬の渡りの季節はとうに始まっている。あの阿武隈川の白鳥たちもやってきている頃だろう。記憶を頼りにいつか訪れた飛来地へと向かう。そこは住宅街の細い路地を抜けた先にある小さな河原。近隣の人たちが河原を整備したり、餌を運んだりした結果、白鳥たちが毎年律義にもこの小さな河原にやって来るようになったそうだ。しかしみぞれ交じりの雪の中、やっとたどり着いたものの、白鳥たちの姿はそこにはなかった。あの日以来、手入れされることなく伸び放題になった薮(やぶ)が河原まで近づく道を覆い隠してしまっていた。 阿武隈川沿いをさらに移動すると、少し開けた川岸に、20羽以上の白鳥とその何倍もの鴨たちが集まっている場所を偶然にも見つけた。灰色の羽毛をまとった白鳥の子も数羽交じっている。翼を広げ、伸び上がり、じゃれあい、のどを震わせ、水に漂うその白鳥たちの中に、右の翼が大きくねじれた一羽の白鳥がいるのに気付いた。 翼の羽根が損なわれ骨が剥(む)き出しになっている姿は、何本もの矢が突き刺さったように見える。それが何を意味するか記すまでもない。夏も冬もここを動くことなく、ときたま現れる人間たちから食べ物をもらい続け生きていくしかないだろう。一人の少年がその翼の折れた白鳥をじっと見ていた。その手には食パンが握りしめられている。< 前のページ12次のページ >
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